※本稿は確定稿ではなく、最新の情報でアップデートされます。
休耕田とは
休耕田とは文字通り耕作を止めてしまった田んぼのことです。
休耕田ができる理由
1. 高齢化と後継者不足
- 農業従事者の多くが高齢化し重労働である稲作を続けることができなくなる
- 若い世代が都市部へ流出し農地を引き継ぐ人がいない
- 地域住民の人数が減ると共同作業によるインフラの維持管理が成り立たなくなる
2. 経済的な採算の悪化
- 山間部の小規模で分散した水田では、大規模化や機械化が難しく、生産効率が低い
- 市場価格の低迷や農業所得の減少により、採算が合わない
休耕田の管理
休耕田は何も管理をしないとすぐに陸地化し、あっという間に雑草が繁茂します。そして、数年が経過すると木が生え始め、やがて森林に戻ってしまいます。
将来的に耕作の予定が無ければ休耕田の管理は無駄に感じられますが、実際には多くの休耕田として管理され続けています。
休耕田を維持する理由
将来的に再び耕作するつもりである場合を除けば下記のような理由があるようです。
- 農地が荒れているのが恥ずかしい
- 害虫や雑草により近隣に迷惑をかけたくない
- 先祖に申し訳ない
- 助成金を受給するため
参照資料:不耕作水田の効果的維持管理方式の提案
維持に必要な作業
具体的な管理作業としては、下記のようなものがあります。
- 耕起
- 刈払い
- 除草剤散布
耕起は、ヨシなどの固く根を張る草も根こそぎ抜いて土中に埋めてしまえるため、非常に効果の高い除草方法です。ただし、トラクターなどの機械を使う必要がある大がかりな作業となるため年に1度程度にとどめることが多いようです。
除草剤の使用は手間がかからず便利ですが、比較的高価で、大量に使用すると費用がかさむため、休耕田の隅々まで十分に散布することは難しいようです。
一般的には、平地など作業しやすい場所では刈払を行い、傾斜地の土手など刈払がし辛い箇所では除草剤を使用するという使い分けが多いと考えられます。
使用される除草剤についても、耕作の予定がなければ食の安全とは関係しないため、農薬登録されていない**強力なタイプ(ゴルフ場などで使用されるようなもの)**が用いられることもあります。
刈払作業は最も基本的な除草方法ですが、重労働で高齢者には大きな負担となります。特に夏場は草の成長が早いため、月に1回程度の頻度で作業が必要になります。
休耕田の借り方
ステップ1:地域の選定
まずは、生物の分布などからビオトープを造りたい地域を決めます。
ステップ2:人脈を作る
地域を決めたら、まずは人脈づくりから始めることが大切です。
たとえ休耕田であっても、見ず知らずの相手に土地を貸してくれる地主さんはほとんどいません。そのため、信頼できる人とのつながりを築き、紹介してもらえる関係性をつくることが重要です。
人脈のつくり方は、たとえば地域の商店や民宿を何度も利用して常連になり、店主と親しくなるなど、地道な積み重ねが基本です。
ある程度信頼関係が築けたら、「休耕田を貸してくれるような方をご存じないですか?」と相談してみましょう。
過疎地域では、若者が地域に関心を持って訪れることを歓迎する空気があります。遠慮せず、思い切って声をかけてみることが成功の第一歩です。
ステップ3:交渉する
「借りる」といっても、正式な農地の賃貸借契約を結ぶのではなく、あくまで一時的に使わせてもらうという形にする方が、貸す側・借りる側ともに気軽で安心です。
交渉の際の条件としては、「責任を持って定期的に刈払いを行う」という一点だけで十分な場合も多く、賃料を設定せずに話をまとめることも可能だと思います。
実際、地主の方は高齢であることが多く、草刈りなどの管理作業は大きな負担になっています。
その作業を代わりに引き受けるだけでも、双方にとってメリットのある“Win-Win”の関係を築くことができるでしょう。
私たちグループがお借りした休耕田(湛水前)
農業委員会への連絡
地主様からビオトープとしての利用について承諾が得られたら、次に地域の農業委員会に連絡し、状況を説明して了解を得ましょう。
農業委員会の事務局は、一般的に各自治体の庁舎内に設置されており、ホームページなどに連絡先が掲載されています。
電話をかける際には、あらかじめ休耕田の所在地(住所・地番)を把握しておき、それを伝えたうえで、以下のような点を丁寧に説明すると、了承を得られる可能性が高くなります。
- 利用目的はビオトープとしての活用であること
- 賃貸借契約は結ばず、管理責任はあくまで地主様にあること
- 工事などによって農地の形状を大きく変更するようなことは行わないこと
また、既に築いた人脈を通じて、農業委員会の担当者に事前に話を通しておいてもらえる場合は、さらにスムーズに進むと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿