2024年3月20日水曜日

休耕田ビオトープの草刈りについて

 休耕田は、単に水を張って放置しておくだけですと、草がボーボーに生えてきて荒地のようになってしまいますので、定期的な草刈りが必要となります。

草刈りのことを一般的には「刈り払い」と呼ぶことが多いようでして、使用する機械は「刈払機」といいます。

休耕田を管理されている農家さんでは、草が生えてくると刈払をされているわけですが、かなりの重労働であるため、農村の高齢化に伴い十分な回数を行えず、苦心されているケースがあります。

そして、刈払が行えなくなると、除草剤を撒いて草が生えなくするようなことも広く行われています。

休耕田の刈払は復田を見据えなければ、その目的は補助金受給や「近所から白い目でみられないこと」となりますので、地主様もなるべく労力をかけたくないんですよね。

農産物を出荷している田畑では、農水省に農薬認定された比較的安全な除草剤が使われますが、休耕田の場合は食の安全性は関係ありませんので、農薬認定されないような強力な除草剤が使われることになるんですね。

ただ、除草剤も結構高価で大量に購入すると費用がかかるということで、休耕田の隅々まで撒くことはできないようです。

平地で作業しやすい場所は刈払を行い、土手などの傾斜地や既に藪になってしまった場所等、刈払作業がしずらいところで除草剤を使うケースが多いものと思われます。

一方で、ゲンゴロウを育むような水田ビオトープは水草を生やすことが必須となりますので、当然ながら除草剤を使うことはできず、専ら刈払での除草作業となります。(ヨシなど田んぼの粘土層を貫通して水漏れを引き起こして草が生えてきてしまった場合は、もしかしたら塗るタイプの除草剤を選択的に使う必要はあるのかもしれませんが、そのことについてはまた別途記事を書こうと思います。)

さて、刈払機は鋭利な歯が高速で回転しますので、チェーンソーと並び扱いに危険が伴うとされている機械でして、安全に取りあつかうための「刈払機取扱作業者」という資格がありまして、刈払機取扱作業者安全衛生教育を受けると資格を受けることができます。

早速、受講してきました。

まずは教科書を使った座学の講習があります。

そして、実際に刈払機を扱う実習もカリキュラムに組み込まれています。

今の時期、まだ寒いですので草は生えていませんが、操作を学ぶ上では支障ありません。

下の写真は実習でお借りした肩掛式刈払機です。


最もメジャーなタイプでして、作業中に転倒などしても刈刃が体に接触しずらく、安全な構造になっています。

下は休耕田の地主様が使用されている背負式刈払機です。
操作桿が自由に振り回しやすいので傾斜地等で便利なタイプです。


刈払機で必要な消耗品としましては、燃料の混合油(ガソリンとエンジンオイルが混ざったものでホームセンター等で購入可能)と替刃がありまして、あらかじめ地主様と相談し、どちらが何を準備するか決めておく必要があります。
刈刃は結構頻繁に交換が必要とのことで、高価なものを選ぶと長持ちするそうです。

5月末くらいになると刈払が必要なくらい草が伸びてくるそうですので、頑張ろうと思います。


2024年3月16日土曜日

休耕田をお借りできることになりました

 ゲンゴロウ池をお借りしている現地で、新たに休耕田をお借りできることになりましたので、今年は休耕田ビオトープに挑戦しようと思っています。

現地は、山間にある谷津田です。

現地入りする直前に雪が降りまして、周囲が雪に覆われています。

地主様は現地の協力者の方からご紹介いただきました。

ぽっと来たよそ者に土地を貸す人は少ないと思いますので、やはり人づてで紹介いただくというのがとても大切だと思います。つまりは、休耕田をお借り受けする機会を得るためには、事前に現地で人脈を作ることがポイントとなるのですね。

この休耕田は、もう20年間程も耕作は行われていないとのことですが、草刈りがされて綺麗な状態が維持されています。

農家の方が休耕田を綺麗に維持する動機については、下記の論文に詳しいですが、

  1. 「中山間地域等直接支払制度」等の補助金の対象から外れないようにする
  2. 景観が悪くなったり害虫が発生したりなどにより近所に迷惑が掛からないようにする

となっております。

_pdf (jst.go.jp)

休耕田をお借りしてゲンゴロウが繁殖できるような環境を作り出すためには、圃場内に水草を生やすことが必須となります。

休耕田に草が生えている状態になった場合、行政からは管理不行き届きで補助金対象から除外すべき対象に見えてしまう懸念がありますし、ご近所様からは荒廃した害虫の発生源と見えてしまう懸念があります。

従いまして、休耕田ビオトープを運営するためには、この休耕田が管理不行き届きではなく、環境保全のために意図的に水草を生やしている場所であることを周知する必要がありまして、ご近所様向けには看板等で目立つように掲示したり、また、行政向けには現地でそのような取り組みを行っていることを予め伝えておくことなどが必要となります。

関係者から出そうな懸念点に対して予め先手を打って対策を考え、地主様にご説明、ご納得いただくことでやっと休耕田をお借りしてビオトープを造ることができるんですね。

行政と話ができるような方とパイプを作っておくこともとても大事と思います。

今回、地主様や地元活性化に取り組んでおられる方等に多々ご協力頂きまして、なんとか休耕田をお借りできることになりました。

また、地元の生態系の保全が目的であり、我々の方もボランティアでやっている旨を地主様がご理解下さいまして、賃料といいますか、謝礼の方もかなり低額でお受頂くことができました。

ここまでかなりのスピードで進捗しておりますので、ご協力いただいています関係者の皆様には、本当に頭が上がらない思いです。。


お借りした休耕田に水を張っていただきました

ゲンゴロウの生息地にお借りした休耕田に地主様が水を張ってくださいました。 取水口から少しずつ水が入っているようで、じわじわと溜まってきたところです。 カエルの声が聞こえてのどかな雰囲気。 畔には草が生え始めていてここからかなりの勢いで成長しそうです。 この休耕田は中山間地域...